ベニモンカラスシジミ採卵 2021

緊急事態宣言が出ていますが、県をまたいで山に出かけました。神戸から高知県香美市まで行くと、高速道路で四国4県縦断です。天気予報では晴れでしたが、8時には小雨が降っていたので、徳島県の方へ戻って別府峡へ行ってみました。こちらは渓谷の道路に雪が残っていて、新しい落石が路上にゴロゴロ。途中で通行止め、早々に引き返しました。ゆずが収穫された耕地を登っているうちに晴れてきて、いつもの斜面に取り付きました。物部町でベニモンは年々劣性になっていて、ミヤマカラスシジミが増えている気がします。とにかく鹿の食害がひどく、糞がめだちます。急斜面の岩の間からヒョロッと伸びているキビノクロウメモドキを探します。芽元を見ても、小枝の分岐を見てもミヤマばかり(写真1)でしたが、帰ってからチェックしているとミヤマ1,ベニモン3の卵塊(写真2)がありました。結局以前見つけた木ばかりで、新しい木が見つけられませんでした。

気分は北海道 2 シロオビヒメヒカゲ

最近増えているといわれるシロオビヒメヒカゲ。正確にいうと平地型の道東亜種は増えていますが、崖で発生している定山渓亜種は希少種。2015年は7月中旬の滞在だったので、シロオビヒメやカラフトタカネキマダラセセリ、カラフトヒョウモンは標高が高い三国峠付近で採集しました。三国峠は大雪・層雲峡の南の入口。峠で採集したわけではなく、三国トンネルを抜けた望岳橋の引き込み道路で採集しました。国道273号沿いでも採れるらしいのですが、一応国道なので避けました。大雪湖付近の273号上ではオオイチモンジがよく交通事故に会っているらしいです。今年は帯広周辺で見つけられればと。別の場所で『ゆずりはクラブ』に気になる記録があり、2019.6.6 斜里郡清里町緑町 多数。11日 多数。2020.6.24 清里町清里峠 5頭,他多数目撃。たくさんいそうですが。写真上段は道東亜種のペア(左が雄)。下段は定山渓亜種、1973年採集で軟化展翅が崩れちゃっていますが、特徴である白帯の狭さは良くわかります。

気分は北海道 1 カラフトタカネキマダラセセリ

北海道で採れる蝶を見ていたら、まだ半年先なのに北海道旅行の計画から抜け出せなくなりました。あわよくば、あれもこれもと。まずは忠類辺りでカラフトタカネキマダラセセリ。9日のチャマダラセセリのブログ追記に書いたように、学生の頃は上春別や五十石の国鉄線路脇で採れました。思い出してみると線路敷石の間に咲いていたシロツメクサにたくさん吸蜜に来ていたような。シロツメクサは普通に道東まで広がっていたようです。写真上段は2015年 日勝峠で採集したカラタカのペア(左が雄)、下段は1974年 上春別で採集したペア、ラベルを新調したので2枚になっています。カラタカとチャマダラとは発生時期がずれますが、緯度と標高差でカバーする予定。

2021年の目標種 (6) タカネキマダラセセリ

タカネキマダラセセリは今年の目標、というより毎年の体力測定指標です。2003年から新穂高に行くようになりました。白出沢出合から滝谷まで、50代の時は1時間半、昨年は2時間かかりました。右俣のネキポイントは大きく分けて、白出沢と滝谷でしたが、登山道が崩落した白出沢は当分復旧する見込みがないようです。あと何回滝谷まで行けるか。最初の頃は1,2頭しか出会えませんでした。ネキを採るこつは、1. 青のトラップを蝶道上にセット 2. ポイントの草付に日が射す前に到着する 3. 一瞬だけ静止する個体を見逃がさない 4. 黄色の花にはあまり来ず、ピンクから紫系の花が咲いている時は、訪花個体に注意する。 5. 捕獲後は翅を傷めないようフィルムケースに取り込む です。青色トラップには雌雄とも反応し、止まる時はべったりと静止するので、網をかぶせやすい所に設置します。日が射す前に空間に面した葉上に静止している個体がいます。周囲の草本に注意して、静止時間の長短にかかわらず、オレンジ色の点を見逃さないように。花の開花期と発生時期はずれる年もありますが、咲いている時は常に見回ります。5.は採るコツではありませんが、綺麗な標本にするために重要です。フィルムケース内で暴れないよう、念のため凍らせたペット飲料を携行して、一緒に収納するようにしています。あと良い時期にあたると9時から10時半頃、交尾しているペアを見ることがあります。この時間帯は雄が雌を追尾して翔んでいることもあるので、当たればラッキーです。いうまでもないことですが、日が射す好天日に行く、大抵が足場の悪い急斜面なので注意。

近畿支部例会

昨日は鱗翅学会近畿支部例会が関西昆虫学研究会と合同でZoomミーティングで開催されました。渡辺康之さんの講演で大雪山のウスバキチョウが危機的とのこと。少し前まで『ウスバキは手で抓めるほど居る』と聞いていたので、ショックでした。そういえば、オガサワラシジミも1974年には『母島では全島に広く分布する』とされていました。環境の変化、気候の変化、天敵の増減などいろいろな変化に対応できないと消えていくのも自然でしょうか。オガサワラシジミは個人的には、母島と父島を徹底的に捜索しないと絶滅は納得できません。写真は前半鱗翅学会分のプログラムです。

ヤクシマルリシジミ蛹を低温処理

ヤクシマルリシジミの蛹を3日間、5℃に置いて低温処理をしてみました。ミヤマシジミやクロツバメシジミの蛹は短くても10日間は置くのですが、ヤクルリの場合は低温に弱いので、短くしました。結果は蛹を3日間処理したくらいでは、影響はなく、通常の高温期型雄と雌(写真)が羽化しました。やはり低温期型にするには幼虫を低温で飼育するしかないようです。13℃で飼育した群は今蛹化中です。

2021年の目標種 (5) チャマダラセセリ

北海道旅行でジョウザンシジミが採れれば、これもと狙っているのがチャマダラセセリ。摩周湖付近では6月上旬に揃って発生する年が多いようです。春型は自己採集品がなく、飼育して低温処理で春型風にした10月生まれの個体(写真右上)のみです。写真上段が北海道産春型、下段は飼育の夏型です。左列が雄。チャマダラはお気に入りの蝶ですが、近年個体数が激減しており、福島まで出張ってもなかなか採れなくなったので、この頃は飼育も試みています。

標本箱を見たら、7月に採集したぼろぼろの春型チャマダラがありました。ラベルに上春別と書いてあります。今は上春別の鉄道駅はありませんが、当時は線路脇にアサマシジミがいました。標茶-五十石の線路脇では、カラフトタカネキマダラセセリが面白いように採れました。

2021年の目標種 (4) ジョウザンシジミ

妻との北海道旅行で採ろうと目論んでいます。採集行ではないので、補欠の目標種で番号は括弧付きですが、摩周湖付近の青いジョウザンシジミ。北海道昆虫同好会のブログでは青い個体群が絶滅したようなことが書いてあって不安ですが、一応『北海道の蝶の採集・撮影案内』には記載されているので、ここだけは外さないように旅行するつもりです。写真は足寄産ジョウザンシジミの黒っぽい個体と青の多い個体。少なくとも右の個体より青いのを探します。

2021年の目標種 (3) キマダラルリツバメ

6月後半の計画は福島のキマダラルリツバメ採集。西日本のキマルリはTっちゃんに教えてもらってあちこち行きましたが、東北では採ったことがありません。蝶研に入った年に東北遠征に連れて行ってもらい、龍泉洞や安家洞の近くでも採集しましたが、キマルリの習性についての知識がなく、採集していません。現在てふやさんのポイントマップには福島県三島町や金山町の観察地や柳津町の採集地が記載されています。最新号の特典で柳津町全ポイントマップも入手する予定です。で、計画としてはポイントマップに記載されていない場所で探すつもりです。福島のキマルリは主に桐の木に住んでいるアリに養育されているとのことなので、桐畑を目印に探します。都合の良いことに会津地方のグーグルストリートビューは桐の開花期に撮影されているので、道路脇の桐の木は一目瞭然。もう気分としては採ったも同然。写真左は福島県産、右は岩手県産のキマルリ雄です。いずれも宮城のOさんからの頂き物です。

2021年の目標種 (2) ウスバシロチョウ

昨年、白いウスバシロ卵の飼育に失敗し、白い形質が遺伝するのか確かめられませんでした。今年は白無垢の母蝶を採集して、再試行してみます。できれば交尾中のペアを見つけて父方の形質も確かめたいのですが、欲張り過ぎ。とにかく白無垢の雌を求めて青森へは行きたいです。Oさんに教えてもらったポイント以外に小又とか向原子とか地名のわかっている地域をストリートビューで流して検討中です。産地の詳細は『季刊ゆずりはNo.37, 32-45, 小野克己 2008』に掲載されています。産地だけでなく、白化度等も検討されていますのでご参照下さい。写真は青森県七戸町で採集した白いウスバシロです。左下は文句なく白無垢、左上は後翅内縁が少し黒いですが、翅脈にも白い鱗粉がのっていて、まず白無垢。右上は全体に白いのですが、前翅先端部が黒っぽいのと翅脈が全部黒く見えるので、白無垢とは言えないと思っています。右下は一昨年採卵した母蝶、採集した時点で擦れていましたが、後翅内縁などに黒い部分がないので、白無垢形質と思っていました。採卵の難易度は高くないので、白無垢雌の採集如何にかかっています。