蝶研OB会

大学の11月祭に合わせて、久しぶりのOB会がありました。まずは大学祭の展示会場(写真1)へ行ってみました。標本の展示が主、なのですが、子供さんに蝶の展翅をしてもらうコーナーもあり、Ytubeのような画像紹介もあって、少しずつ変わっているんだなぁと思いました。聞き忘れたのですが、シャジクモ類の展示があったのは何故? 夕方からはホテルへ移動してOB会です。本日の宴会(写真2)。京都看護助産学校、立命館大、防衛大京都、はわかるのですが、信州大!秋の京都観光も楽しまれるんかな? この時期の京都は混んでいます。移動時にタクシーが全く捕まらず、結局ホテルまで徒歩になりました。OB会は現役学生から私のさらに先輩方まで、50歳以上の幅がありました。それでもチョウ、コウチュウや昆虫etc.の話で宴会は盛り上がりました。私は近年の採集品をセルフ展示。二次会は飲みには行かず、生態写真のスライドショーを見ながらの雑談。

珠玉の標本箱 29 オオムラサキ

今回は書籍名が『日本の国蝶-オオムラサキ Sasakia charonda ( Hewitson, 1863 ) 珠玉の標本箱 日本産蝶類標本写真およびデータベース(29)タテハチョウ科② オオムラサキ』となっています。さすがオオムラサキ、標題の前に国蝶と学名が記されています。標本写真が裏展以外は等倍大で載っているので、迫力があって良いのですが、個体数が少なすぎる感じ。もう少し全国レベルでじっくり集めても良かったのではと思います。O舘さんのコレクションが見たかったです。でもブルーオオムラサキの長崎さんの解説が載っているのは珠玉。みんなが長生きできたら、続編がでるかな。

剣山スキー場

行ったことがない場所へ採卵に。ということで、剣山スキー場まで行ってきました。狙いはオナガシジミとミズナラに付いているゼフィルスの卵。結論からいうと完封負け。スキー場までの道でオニグルミを探しました。まず樹が少ない。見つけても2,3本が並んでいる程度。芽を切って探しても、いないだろうなぁという気がよぎっているので、まぁ見つかりませんわ。スキー場(写真1)まで行くとミズナラはありました。たくさん。スキー場のよい所は林縁が多いので、枝の広がった食樹が楽に見つかります。写真に写っている落葉樹の3割くらいがミズナラです。でも採卵は甘くありませんでした。信州のスキー場ならジョウザンシジミの卵くらいは簡単に見つかるのですが、なにせ四国。ジョウザンはいないし、アイノも少ない。あまり枝を落とすのも気が引けて、すぐに退散、予定ではもっと標高を上げて、フジミドリも探してみるつもりだったのですが、道に雪が残っていてノーマルタイヤでは無理。時間があるので美馬ICまで戻って、反対側の竜王山のメスアカミドリシジミを探しました。こちらも激辛。少ない。やっと写真の2卵だけ見つけました。

2023年の蝶 13 タイワンツバメシジミ

振り返りの最後は屋久島の蝶。本命のヤクシマミドリシジミの卵は全く採れず、沿岸部のタイワンツバメシジミへ転戦しました。まぁ採れないだろうと思い下調べをしていませんでしたが、いるとしたら昔採れた集落周辺の荒れ地。ということで、安房から栗生の農地、果樹園でなくできるだけ畑、へ行ってみました。草丈があまり高いところはダメ。海岸近くではなくて、海から一番奥まった農地が良さそうです。湯泊集落の奥に辛うじて残った荒れ地。もう夕方でかなり日が傾いていましたが、小さいブルーが翔びました。ヤマトシジミではないようなので、ネットして確認。まだ生き残っていましたタイワンツバメ(写真1)。欠けていたのでリリース後、綺麗な個体も見つけました。近頃全然屋久島での情報が無かったので、もういないかも知れないと思っていましたが、居て良かった。このポイントはススキやシダの侵出でシバハギが隠されかけていて、かろうじで生き残っている感じ。後日、もう少し長持ちしそうなポイントを見つけ、雌の写真も撮れました(写真2)。

ヒサマツミドリシジミの採卵 2023

福井のヒサマツミドリシジミ採卵にでかけました。鈴鹿の茶屋川流域では最近ヒサマツミドリの卵がめっきり少なくなりました。福井も鈴鹿ほどではありませんが、減っていると感じました。写真のような日当たりが良く、条件がいいところにあるウラジロガシは表年、裏年はありますが、毎年コンスタントに卵がついています。赤丸の当たりに卵が産んであります。今年は表年で芽もたくさん付いているのですが、卵の数はあまり多くありませんでした。

2023年の蝶 12 ゴマシジミ

北海道はあちこちでゴマシジミが採れます。まず函館市郊外の広々とした山頂付近で、走り回って採集しました。一つ取り込んでいると、向こうで翔んでいるのが見えるくらいの間隔で、良い運動になりました。オホーツク海側の沿岸の個体は表翅の黒帯が狭く、黒斑が小さいので、本州の個体を見慣れている目には新鮮です。写真1の左側は函館市産、右側は紋別市産。

2023年の蝶 11 カバイロシジミ

7月末から北海道遠征。オオゴマシジミはまた不作でしたが、カバイロシジミとゴマシジミは計画通りいいのが採れました。渡島半島沿岸部のカバイロシジミは7月末に綺麗な個体が採れます。6月にとれる場所があったり、8月でも採れる所があったり、カバイロシジミの発生は長ーく続くようです。先回、良いポイントを見つけたので、そこを再訪。綺麗な個体を選んでのんびり採集しました。雌は黒っぽく、この辺りでは、表翅の基部に少しだけ青鱗粉がのった個体しか見たことがありません。青色部が広がって雄に近い雌は、北部に多いようです。

イワカワシジミの卵

むしオークションで奄美産イワカワシジミの卵を買ってしまいました。低温期型の白い斑紋が出たのをもう一度展翅したくて。1974年初めて奄美大島へ行ったのは3月下旬でした。卒業旅行のつもりで、就職する前に行っとこうかなと。アカボシゴマダラやカラスアゲハはまだ第1化が出ておらず、アカボシの幼虫を採集しました。イワカワシジミはまだ蛹で、クチナシの樹にぶら下がっている枯れた実を片っ端から調べて、いくつか生蛹を持ち帰りました。羽化したペアが写真1です。1974年の標本。6月に採集するイワカワ蛹からは得られない白い紋が出た第1化です。今回購入した卵は1卵ずつクチナシの実に貼り付けました(写真2)。無事50年ぶりの第1化成虫になるまで飼育せねば。近所から取ってきたクチナシの実は、熟してオレンジ色になっているので冷蔵庫で保存します。見た目は青い実より美味しそうだけど、食べてくれるかな? そうこうしているうちに孵化が始まりました。幼虫はどこから実の中へ食い入ろうか物色中です(写真3)。

2023年の蝶 10 ツマベニチョウ

奄美大島で採集していると、ツマベニチョウをよく目にします。道路で頭上を横切って行く、遠くの森の斜面を上がって行く、道脇のハイビスカスで瞬時の吸蜜、よく見る割に採れません。ハイビスカスの咲いている垣根などで粘って、やっと採っても、カケてる個体が多くてがっかりです。今回はフタオ狙いで同じ道を切ったり来たりしていたおかげで、ツマベニがよく静止する場所のハイビスカスがわかりました。綺麗な雌が採れました。黒っぽくて素敵です。ほぼ同じ日程で奄美を訪れていたMさんが母蝶を探していたのを思い出し、翔んできた傷んでいる雌も捕獲し、宿に戻ってから進呈しました。神戸へ帰還して1ヶ月ほどして、Mさんから飼育したツマベニの蛹を送っていただきました。採卵して飼育するのはすごく手間がかかるのに8蛹も!感謝、感謝でした。綺麗なペアの標本になりました。

2023年の蝶 9 ナガサキアゲハ

フタオチョウのトラップを見回りながら、ついでに周辺を翔んでいる蝶を物色していました。アオタテハモドキは綺麗な個体だけ採集。ハイビスカスの花にツマベニチョウがきますが、こちらはなかなか綺麗なのがいません。黒いアゲハもいろいろ横切りました。ナガサキアゲハは母蝶なら採るつもりで、一応目で追っていました。!!!尾状突起のある雌!! あわてて追いかけましたが、最初の遭遇では逃げられました。夕方になって、2度目の遭遇。今度はネットに収まりました。完品ではないのですが、生かして持ち帰り、採卵しました。飼育して有尾の雌が羽化しました。有尾形質は顕性遺伝らしく、複数の雌が羽化すれば、有尾が得られます。ただし雄は無尾しかでません。奄美大島では有尾のナガサキがあちこちで得られているので、行かれた際は、頭のどこかに入れておいてください。