今年の一番

今年は6月中旬に北海道へ行き、目的の青いジョウザンシジミやリンゴシジミの母蝶が採れました。でも年末に標本箱を眺めて、個人的に一番気持ちがいいのは、写真のホシチャバネセセリ。なかなか綺麗な標本ができました。野外産のホシチャバネで白斑が消えかけていると断定できる標本はなかなかできません。茶色のセセリは綺麗な個体でも採集して標本になるまでに擦れてしまうからです。採集後、フィルムケースで取り込み、写真右側の微針柄付き針や触角整形針を使って展翅した成果です。小さなセセリやルーミスシジミなどを取り込むときはフィルムケースをネットに入れて、中で取り込むようにしています。長時間持ち運ぶときは、フィルムケースを凍らせたペットボトルと一緒に保温袋に入れています。車に帰ったらアイスボックスへ入れ、帰宅したら冷やして、蝶が動かない状態で三角紙に移します。

ムシャクロツバメシジミ蛹化

ムシャクロツバメが蛹化しました(写真1)。枯れかけの食草から回収した時に、室温飼育に移していた分です。九州産はまだ蛹の低温処理をしたことがないので、一応試してみようかなと。屋内に移すと、急に糞がたくさんになって、蛹化が始まりました。ただ中にはまだ3齢でうじうじしているのもいて、成育が相当ばらついています。野外にいる群はさらに小さい幼虫で、タイトゴメと植え替えたツルマンネングサの鉢に潜っています。写真2は台湾で幼虫採集して羽化させた霧社クロ、1990年5月の標本、30年も台湾に行ってないのかぁ。

キアゲハ羽化

今年中に羽化する蝶はもうないと思っていましたが、昨日マンション管理人のIさんからキアゲハの蛹をいただきました。土日に羽化してしまいそうなので、ということで管理人さんがパセリで育てた蛹を譲り受けました。翅が透けて見えており、今日、日差しを浴びたら蛹から出てきて翅を伸ばしました。ブログネタになるありがたいクリスマスプレゼントでした。

姫路のミドリシジミ

姫路のため池畔のハンノキでミドリシジミの卵を探しました。写真1のような池の脇に並んだハンノキです。大きなハンノキよりも幼木に産卵されています。普通1,2卵ずつ産んでいますが、条件が良い場所では写真3のように卵塊が形成されています。播州のミドリシジミは今年も安泰のようです。タダミドリは採卵はせず、また幼虫の季節にきましょう。近くのコナラを見たら、ミズイロオナガシジミの卵がありましたが、寄生されてほっかり穴が開いていました。

昆虫標本展示即売会 2021

久しぶりに大阪・小原流ホールで即売会が開かれました。盛況で、若い年齢層の人も結構いたので、安心しました。標本を眺めるのは非常に楽しいのですが、やっぱり自分で採る方が好きなので、結局T WOODさんの標本箱だけ購入して帰りました。標本も標本箱も本当は終活で、減らさにゃいかんのですが、、、小原流ホールは3年ぶり、大阪のじいちゃん達はみんな元気でした。旧知の方とも話ができて、なんかほっとしました。

新潟県下越地方のミヤマシジミ

という書籍の紹介です。越佐昆虫同好会特別報告第8号として、標題の冊子が発刊されました。B5版53頁で写真は裏表紙です。越後の名人から送っていただきました。産地と標本写真を纏め、きちんと残していただけるのは、非常にありがたいことで、本当は非常に重要なのだと思います。ミヤマシジミは各地で姿を消していますが、同じくブルー御三家のヒメシジミ、アサマシジミも危惧種。生息環境が維持できればいいのですが。(南陽堂さんで購入できるそうです。¥1800)

クロツバメシジミ幼虫の探し方

蚊帳で飼育しているクロツバメシジミ幼虫の食痕と習性について。クロツ幼虫採集の参考になると思います。3齢以降になると、食草の葉肉を食べて、表皮が残った食草が目立つようになります。写真1のように白く抜け殻になった食草がある近くに幼虫がいます。食痕以外に写真2のように食草群落の縁で、石や板に食草が覆いかぶさった所の下を見てみましょう。写真3は脱皮前の幼虫です。蛹もこのような所に隠れていることがあります。食痕のそばに深緑色の糞(写真4黄色矢印の先)があれば、近接した食草に幼虫が食い入っている可能性大です。基本食痕が見つからないと、手掛かりがないので、2齢以下の若齢幼虫は採集困難です。卵は食草群落の端に産むことが多いので、個体数の多い産地であれば、卵を探すこともできるかと思います。ツメレンゲが食草の産地では、幼虫が食い込んだ跡や、食われて萎びている食草を目安に探すことになります。終齢になると食いちぎって下に落ちた食草の中や下に隠れていることもあります。

クロツバメシジミs幼虫で越冬中

ムシャクロツバメシジミに産卵させたツルマンネングサが大分枯れてきたので、幼虫をタイトゴメ主体の鉢へ移殖しました。3齢になって、食痕も大きくなり、やっと見つかるようになりました(写真1の赤矢印)。まだいるはずですが、確認できたのは16幼虫です。別に蚊帳の中のプランターのタイトゴメで累代中のクロツバメシジミも幼虫が視認できるようになりました(写真2の緑矢印)。メキシコマンネングサやツルマンネングサは冬期に葉がなくなってしまうのですが、プランターのタイトゴメは南向きの暖かい場所で、冬も青々としています。ムシャクロツとクロツは幼虫で冬越しする種ですが、食糧が豊富で暖かいので、3月になると第1化が出ると思います。

季節外れのコチャバネセセリ

夏のルーミスシジミ採集の時に長門峡で幼虫採集したコチャバネセセリ。蛹になって全然羽化しないので、春までお預けだなと思って放置してあったのですが、今日羽化していてびっくり。室内に置いてあったので、時計が進んだのでしょうか。裏面が明るい春型のコチャバネ、山地の超普通種ですが、この時期に見ると新鮮です。あとミヤマセセリの幼虫がカシワの葉にいるのですが、こちらは野外なので、ちゃんと春まで待っていると思います。

古地図 5 高槻市摂津峡

ゼフィルス採卵と並んで、冬の蝶採集の代表格、オオムラサキの幼虫採集。関西では摂津峡が有名でした。マップは1998年作成。地図では萩谷総合公園がまだ建設中になっています。萩谷から摂津峡北側へ通じる林道脇のエノキでオオムラサキの幼虫を採りました。今はどうなっているのか?ストリートビューでは載っていないので現状をみていません。航空写真で見ると、森林は残っているようですが。写真は摂津峡付近で幼虫採集したオオムラサキ。