ウスバシロチョウ遠征の副産物

ウスバシロを追いかけていると、なかなか他の蝶には目が行きませんが、予想外でうれしかったのが、ヒメシロチョウ。モンシロチョウにしてはやけに小さいので、ネットして見つけました。雄は擦れていて持ち帰りませんでしたが、綺麗な雌が一つ採れました。裏展翅しました(写真1)。サカハチチョウはあちこちで見られ、最盛期。クモガタヒョウモンは雄の出始めでしたが、目撃はするもののなかなかチャンスがなく、1雄のみ。葉上に静止したウスバシロを探していて、偶然見つけたのはミヤマチャバネセセリ。どごが発生地なのか見当もつきませんでしたが、採れてラッキーでした。こちらは後翅裏面の白斑が特徴なので、もちろん裏展翅(写真2)。

梅雨の晴れ間 2021

朝から晴れているので、はなちゃんに散歩をせがまれました。散歩コースの庭木のサンショウにナミアゲハが卵を産んでいます。もう三代目ですか。ルリシジミの雄が公園の砂地で吸水していますし、モンシロチョウの雌は卵を産めるアブラナ科を探して草地の上を物色しています。関西独特の少し珍しい蝶としては、ホシミスジがあちこちにある植込みのユキヤナギの周りを翔んでいます。ミスジチョウくらい大きな雌が飛び出したので、思わず採集したくなりましたが、何も道具を持っていないので、写真でがまんしました。

ミヤマセセリの巣 2

ミヤマセセリ用に移植したコナラの幼木が枯れてしまったので、遠征の間、カシワの枝を水差しに入れて添えておきました。帰ってみると、枯れたコナラからカシワに移って、固い葉をちゃんと折り曲げて巣を造っていました(写真1)。中には2枚の葉が重なった部分を張り合わせて巣にした容量のいいヤツもいました(写真2)。コナラの幼木はないので、プランターのカシワの幼木に袋掛けで幼虫をつけました。大きさは11mm~15mmくらいです。

チョウセンアカシジミの蛹採集

青森の最終予定日だった28日。お天気が悪いので、半分帰りがてら、新潟県長岡市へ。今年2月2日のブログで紹介したGoogleストリートビューでの食樹探し、トネリコ編。チョウセンアカがいそうな道路脇のトネリコをピックアップしてあったので、蛹を採ってやろうと目論みました。天気は予報通り曇天で雨はなし。トネリコが並んでいる場所へ向かいました。昔野外でチョウセンアカの蛹を見つけ、同好会誌に投稿したことがあります。トネリコ幼木の根際にあった板木の裏に蛹が付いていました。ストリートビューでチェックした水田脇に並んでいるトネリコにたどりつきましたが、樹の根元はすぐ水路になっていて、何にもありません。大きなトネリコもあちこちにありましたが、根元は草ばかりで、探しても何も見つかりません。うーん、蛹で新産地発見は無謀だったかな? 仕方なく以前幼虫採集した場所に行きました。樹の根元に落ちていたボロ布をめくって、やっと1蛹を発見(写真1)。しかし赤っぽい!? ・・・ウラキンシジミのようです。農家の裏手で林はありませんが、以前採集した時、確かにウラキンシジミ幼虫も混ざっていました。とにかく蛹が見つかって気を良くし、その後、転戦して、根元に切られた小枝が積まれているトネリコを見つけ、チョウセンアカの自己新産地発見に至りました(写真2)。チョウセンアカの蛹は赤っぽくはありません (写真3) 。

ウスバシロチョウ遠征 2

いよいよ白無垢ウスバシロの母蝶採卵です。少し擦れて、腹部の白い粉がはげています(写真1)が、翅全体の白さは、普通に白いと言っているウスバシロとは次元の違いが感じられます。基部に黒が残っているとか、股座がなあ、とか言っている個体とは別格です。新鮮な個体は全体が白い粉を吹いているようです。プラスチック容器に赤玉土と小枝、枯れ枝を入れてセット(写真2)していましたが、師匠から植木鉢の方法を教えてもらったので、変えてみました (写真3) 。

ウスバシロチョウ遠征 1

今年の目標種に挙げていた白無垢ウスバシロチョウ。遠いですが行かないと採れないので、青森まで行ってきました。写真1は青森のウスバシロ雄、通常これくらいの白さです。写真2は吸蜜中の雌、これも普通。写真3が白い雄。前翅中室の黒い鱗粉はなく、べったりと白く見えますが、後翅内縁や翅の基部が黒く、白無垢とは言えません。こういう白い雄は、七戸町周辺で頑張ればまず採れます。今回行ってわかったのは、早朝に探すのがひとつの方法。8時前、ウスバシロは翔び始める前に写真1のように翅を広げて低い所の葉上に静止しています。この時、驚かせないように見て回ります。風が当たらない陽だまりのような一角に集まっていますので、そういう場所を押さえておく必要があります。白いのを探し当てて、採集します。日が射して体が温まると飛び廻って、ネットに入れないと分からないことが多いので、飛び出してからの採集は楽しいですが、メチャクチャに忙しいです。

神戸市のギフチョウ 2021初夏

久しぶりに晴れ間が出て、神戸市のギフチョウの様子を見てきました。卵を見つけた場所につくと、食痕のあるヒメカンアオイがすぐに見つかりました(写真1)。一番たくさんいそうな、葉が垂れ下がっている株をそっとのぞくと、6頭の幼虫が葉裏に並んでいました。古い食痕だけで、幼虫がいない株もありましたが、順調に育っているようです。来年もまだ翔ぶ姿を見せてくれますように。周りの林には、アカシジミと新生のテングチョウがいました。テングチョウはついこの間、秋山郷で越冬した個体が陽だまりに翔んでいたので、成虫がほぼ一年を通して日本のどこかにいることになります。

シルビアシジミ蛹化

九州産のシルビアシジミが蛹になり始めました。母蝶が産卵したミヤコグサをいただいたのですが、確認できた卵の数の倍くらいの幼虫が出てきて、びっくりです。ミヤコグサの実はもちろん食べますが、種齢幼虫はサヤインゲンの実、莢、(写真1)またスナップエンドウの実、莢 (写真2) ももりもり食べます。蛹の外観は中央の黒条が兵庫産よりもくっきりしているようです。一部の蛹は、蛹化2~3時間後、5℃の冷蔵庫に入れて10~20日ほど低温処理をします。低温処理による斑紋変化の詳細は季刊ゆずりはNo.81,23-25 (2019) に報告しました。

雨後のカラスアゲハ

早々と梅雨入りしてしまい、遠方へ出かけられません。午後から雨が上がったので、催促されるままにはなちゃんと散歩に行きました。公園の歩道に入ると黒いアゲハがふわふわ翔んでいました。砂地でカラスアゲハが吸水しています。カラスは毎日見ますが、カラスアゲハは稀、写真を撮りました。神戸市内ではカラスアゲハもミヤマカラスアゲハも分布しており、六甲山周辺ではよく見かけますが、市街地ではなかなかお目にかかれません。池の脇のユキヤナギの上では、ホシミスジが滑空していました。

オオウラギンヒョウモン雌

オオウラギンヒョウモンの雌が羽化しました。蛹期は21日。なかなか羽化しないので気をもみました。数頭しか飼育しなかったので、野外並の大型個体になりました。三桁の卵を産んでも消失していく産地ばかりというのは、よほど生育条件が合わなくなっているのでしょう。食草のマスミレもあまり見なくなりましたし、何より初齢で越冬して、スミレが芽吹いてから成長というのは、しんどいと思います。