リンゴシジミの採卵

ジョウザンシジミと違って、リンゴシジミの母蝶採卵はすんなりとはいきませんでした。発泡スチロールをくり抜いた採卵容器にしましたが、窓の辺りをうろうろするばかりで、なかなか産んでくれません。中には3~8mm径くらいのいろいろな太さのスモモの枝が入れてあります。2日ほどたって、窓際の6mm径ほどの枝にポツポツ産みだしました。エゾノウワミズザクラに産卵すると、白い卵だそうですが、スモモへ産卵するときは黒褐色で瀬戸黒の陶器のような卵です。渋く光る外殻、やわらかく窪んだ精孔部、均一にちりばめられた突起、いい仕事してますねぇ。

ヘリグロチャバネセセリ

鳥取のキマダラルリツバメへ行くついでに、兵庫県浜坂に寄りました。生息地としては珍しい、海岸にいるヘリグロチャバネセセリです。時期を合わせず、思い付きだったので、遅すぎました。テリトリーを張っていたのはかなりボロの雄(写真1)。数は少ないのですが、まだ健在でした。生息環境は灯台付近の草付(写真2)。灯台までの歩道脇にも食草とおぼしきイネ科植物はいっぱいあります。ここでは大型のホシミスジもいますが、神戸市内でも大型のホシミスジを見ているので、横目で見るだけでスルーしました。こちらも少し時期が遅いようでした。

鳥取のキマダラルリツバメ 2021

母蝶採集の目的でまた鳥取砂丘方面まで出かけました。今年、兵庫県低地は6月初旬には盛期だったので、下旬で大丈夫かとも思いましたが、福島のキマ採集行を都合でキャンセルしたので、やむなくこちらへ出向きました。アカメガシワで吸蜜する雌を見つけました(写真1)。やはり例年より傷んでいるようです。裏面の黄色味が強く、トラ型の傾向がある雌、写真を撮っている間に逃げられました。テリトリーを張っている雄もいます(写真2)が、もう尾状突起が4本揃っている雄はいません。こちらの雄は基部の黒斑が大きく、ネグロ型。砂丘周辺のキマルリ生息地は藪化が進むか、伐採されるかのどちらかで、いずれにしてもキマルリにとってはピンチです。藪蚊に襲われながら、母蝶採集を終えて、帰りました。

ジョウザンシジミ産卵

ジョウザンシジミ母蝶を採卵用にセット(写真1)。雌1頭だけなので、累代は不安ですが、とにかく50卵ほど産卵してくれました。上面が扁平になった白い卵です。葉の表面に産んでいますが、外側の目立つところよりも、茎の間に入り込んだ奥まった所に固めて産んでありました。普通に飼育すると、黒っぽい第2化になるので、飼育条件を思案中です。

ホシチャバネセセリ 2021

北海道へ行っていて出遅れましたが、加賀のホシチャバネセセリ。雌が目的なので、時期が遅めでもよかろうと出かけました。いつもの林道へ入ります。葉が渇いていれば、朝9時頃でも、雄は迎撃態勢をとって葉先にちょこんと止まっています(写真1)。生態図鑑によれば、ホシチャバネの活動時間は午前中よりも午後の方が活発とありますが、加賀の第一化では午後に活動している個体は見たことがありません。ヒメジョオンで吸蜜している個体も採集しましたが、この日は雌が採れず、後半は雄もリリースするような状態のものばかりで、また今度ということで帰りました。

北海道遠征 – 6 白い蝶

北海道へ行けば採れるけど、行かないと採れない、エゾシロチョウとヒメウスバシロチョウ。新鮮なエゾシロはミヤマシロチョウより白く、大きく見え、数が少なかったら、皆が採って見たいと思う蝶ですが、如何せん、どこにでもおる。民家の脇を、国道を、山間を、横切って翔んでいきます。写真1は車のミラーに写った自分にアタックするエゾシロ。 ヒメウスバは主に山間部にいて、フワフワ翔んで、優雅です。今回、初めて未交尾の雌を採って、びっくりしました。お腹の側面が黄色い!かなり黄色い。写真2は上段が雄、下段左が未交尾雌、右が交尾済み雌。いままで採ったことのある交尾済の雌は交尾嚢で側面が隠れ、黄色が目立たなくなっていたんですね。

北海道遠征 – 5 シロオビヒメヒカゲ

意外ときれいな北海道特産種、シロオビヒメヒカゲ。幸いなことに最近分布を広げているようで、宿の近くのスキー場にもいました。ジョウザンシジミのいる峠に、まだガスがかかっている早朝、まずスキー場へ行き、シロオビヒメを採集しました。ここでは、発生から時間がたっているようで、写真2のようにかなり擦れていました。ジョウザンを採りに行った峠までの道端では、発生初期のきれいなシロオビヒメがふわふわ翔んでいました。また2日後カラタカを採りに行った三国トンネル手前の道脇では、発生したばかりのシロオビヒメがいましたが、ここのシロオビヒメは飛翔が妙に速い! 走っても逃げられることがあります。注;爺さんのよたよたした数歩の短距離走です。

北海道遠征 – 4 カラフトヒョウモン

カラフトと名の付いている蝶をもう一つ、カラフトヒョウモン。ホソバヒョウモンは良く目にしますが、最近カラヒョウ(我流の略です)が減っているような気がします。本州から北海道へ蝶採集に行く時はオオイチモンジを絡めることが多いので、オオイチの生息する地域でカラヒョウが減っているのかも知れません。今回の北海道行ではポイントを押さえていなかったのですが、青ジョウザンシジミ、リンゴシジミの目標達成の後、天候と距離を勘案して、カラヒョウがいそうな林道へ行ってみました。予報通り良いお天気でしたが、行けども行けども、ヒメウスバシロチョウとエゾシロチョウの散歩道。埃っぽい道をかなり走った後、看板の立った支線があったので、広場に車を止め、支線を歩くことにしました。ヒグマが怖いので、mont・bellで買った熊鈴;これがチリーーン、チリーーンとなかなか素敵な音がして、ずっと鳴っていても苦になりません。を付けて歩きだすと、渓流も近く、開けた所には陽が差し込んで、なかなかいい雰囲気です。ちいさなオレンジが滑空しています。いました、いきなりカラフトヒョウモン? 半信半疑で追いかけて捕獲。そうでした。川側が開けた日当たりの良い場所に出ると複数のオレンジが行き来していました。この場所でしばらく待っていると、次々とヒョウモンが現れました。ホソバの方が多く、カラフトと3:2くらいの割合。ホソバの方が新鮮で、雄ばかり。カラヒョウは雌も混ざっていて、この方がうれしい。時間は10時前。時間帯も大事でこの場所に日が当たる時間が過ぎると、パタッと姿を見せなくなりました。セリ科の花にはホソバヒョウモンとともにアカマダラ春型も、アカマダラは発生が少し遅れていたようです。写真2の左側がカラフトヒョウモン、右がホソバヒョウモン。ともに雄です。

北海道遠征 – 番外 カラフトセセリ

北海道2日目、午前中遠軽地方で採集の予定でしたが、日が射さず、気温が上がりませんでした。静止しているカバイロシジミを探しましたが見つからず、クサフジからイネ科の葉に目を移した時に、セセリの巣を見つけました(写真1)。そのうち葉表に静止している幼虫も見つけ(写真2)、スマホで確認するとやっぱりのカラフトセセリ。成虫の時期に来れば、いやというほど翔んでいますが、幼虫は適度に少ない。いくつか採集して、旅行中飼育していました。すぐに蛹になり(写真3)、今日、羽化しちゃいました(写真4)。綺麗な雌は採集したことがないので、後半の蛹で雌の羽化に期待します。

北海道遠征 – 3 カラフトタカネキマダラセセリ

北海道で採りたい蝶、いつも気にかかるのがカラフトタカネキマダラセセリ、略してカラタカ。北海道の低地では5月下旬から、高地では7月からと発生期の幅はあるのですが、セセリなので羽化後の劣化が早く、縁毛が綺麗に揃った個体はなかなか採集できません。写真1は今回、標高310m地点で見つけた雄、縁毛が無くなっていて、時期遅気味。ここでは雌が綺麗な状態でした。写真2は標高1100m地点で雨中、静止している個体。羽化間もないと思われる新鮮さ、こういうのを採りたいといつも思っています。小型のセセリは三角紙に取り込むまでに傷むので、補虫網からフィルムケース(35mmフィルムの包装容器だったプラスチックケース)に移すのがお薦めです。写真2の個体は直接フィルムケースに収納しました。