2021年の蝶 16 カラフトセセリ

成虫採集はしなかったのですが、幼虫を採ってきたカラフトセセリ、帰宅後、羽化しました。幼虫が簡単に採れるということは、発生している場所では、相当個体数が多いようです。以前成虫採集した時はたくさんいたのですが、雄ばかりでした。今回、太めの蛹から雌が羽化して、、うーん?雄とおんなじじゃん。雌雄の斑紋の違いはありませんが、どちらも濃いオレンジ色で、結構きれい。

2021年の蝶 15 カラフトタカネキマダラセセリ

カラフトタカネキマダラセセリ、本州の高山蝶であるタカネキマダラセセリとは違って、北海道東部で標高の低い所にも分布し、低地では5月下旬から、山間部では7月まで発生しています。北海道へ行ったら、どこか時期の合っている産地で採りたい蝶です。今回は上川町で雄を、陸別町で雌を採集することができました。カラタカとネキ、両種の習性は似ているところがあり、雄は午前中、陽だまりの葉上にちょこんととまって、占有活動をします。渓谷や斜面に沿って流れるように飛翔するのも似ています。写真上段はカラタカの雄(左)、雌(右)、下段はタカネキマダラの雄、雌です。今年はタカネキマダラは裏年ですが、なんとか採集できました。

2021年の蝶 14 シロオビヒメヒカゲ

シロオビヒメヒカゲは採りたい蝶でしたが、格別調べなくてもどこかで採集できるだろうと思っていました。案の定、ホテル近くのスキー場で採れました。意外だったのは、峠へ行く国道の法面で結構採集できたこと。清里峠もそうでしたが、特に層雲峡を抜けて三国峠へ向かう国道273号線。層雲峡付近はオオイチモンジで有名ですが、今回三国大橋付近で新鮮なカラフトタカネとシロオビヒメを採集できました。写真1の左側は清里町で採集した個体、白帯が広い普通の東部亜種です。右側は三国大橋付近の個体、白帯がさらに広く、採集したすべてではありませんが、複数、このように白帯が広いのがいました。想定外でしたが、いいのが採れました。

旅しようキャンペーン

ふるさと応援、ひょうごを旅しようキャンペーンにのって、一泊旅行をしてきました。温泉につかってカニ食べて。次の日、帰路でかあちゃんが温泉に入っている2時間ほどで、カシワ林の様子を見てきました。現地について、よさそうな林縁のカシワの小枝を見ると、白い卵がついていました(写真1)。ハヤシミドリシジミの卵のようです。スマホを機種変更して、絞りを少し調整できるようになったので、100円均一のマクロレンズでの卵拡大写真が少し綺麗になりました。ちょっと探しただけで、ほかにも卵が見つかったので、来年、但馬のハヤシミドリは少なくはないと思います。

2021年の蝶 13 カラフトヒョウモン

6月の北海道で採りたい蝶の一つカラフトヒョウモン。オオイチモンジ目標で北海道を訪れると時期が合わず、採れないのですが、最近はカラフトヒョウモンの個体数が減って採れないとも聞いていました。今回採れたのは偶然で、カバイロシジミがいなかったので、ミヤマカラスアゲハでも探そうと、近くの林道を詰めてみました。車を止めて、川沿いに歩いていると、オレンジのヒョウモンが翔んでいました。ホソバヒョウモンだろうと捕獲してみると、カラフト!でした。ホソバヒョウモンもいて、アカマダラと一緒に路傍の花で吸蜜していました(写真1)。日当たりが良くなると川沿いに小型のオレンジがいくつも翔びだしました。カラフトも写真1の花に来ていました。ホソバは雄だけでしたが、カラフトは雌雄とも採れ、満足して林道を後にしました。写真2はいずれも雄、上段はカラフトの表と裏、下段はホソバの表裏です。カラフトは後翅外側の銀色三角の縁取りがお気に入りです。

2021年の蝶 12 リンゴシジミ

北海道遠征目的の一つリンゴシジミ。こちらはジョウザンシジミと違って、あっさり採れました。採集案内の他、杠さんにポイントを聞いていたおかげです。最初のうちは慣れなくて、梢の上を翔んでいる雄を見上げているばかりでした。なにせ前回リンゴシジミを採ったのは1973年。大学のサークル仲間のOくんと北海道遠征をし、川湯温泉や屈斜路湖畔のスモモで採りました。五十石や上春別の国鉄線路沿いでは、カラフトタカネがピョンピョン翔んで、シロツメクサで吸蜜していました。北見のチミケップ湖へオオイチモンジ採集に行って、テント泊していましたが、あまりに寒いので、近くの農家の方が泊めて下さったこともありました。国鉄やバスの移動で時間はかかったけど、良い採集旅行でした。話を戻します。リンゴを採集するには活動し始める3時頃よりも前。叩きだすと近くに静止するので、ゆっくり採集できます。明るいので見失う機会も減ります。雄にはやや時期遅でしたが、母蝶を確保、採卵して、来春の飼育待ちです。

ルリウラナミシジミ羽化

ルリウラナミシジミが羽化しました。寒くなったので、羽化しないで死んでしまうものも。夜は炬燵に入れておくことにしました。今日、須磨寺で火祭りというか柴燈護摩供がありました(写真1)。境内で護摩を焚いて、火渡り修行で厄ばらい。火渡りは申し込みませんでした。火を焚いている所よりも紅葉を撮りたくて、ずーと後ろへ引いてしまいました。やー、こんなに人が集まるとは! 羽化したルリウラの雌は全面キラではなく、中央付近に青紫色の鱗粉があって、ミドリシジミ類の雌を想起させます。

2021年の蝶 11 ジョウザンシジミ

6月中旬から北海道へ遠征しました。目的は2つ、一つは青いジョウザンシジミの母蝶、もう一つはリンゴシジミの母蝶、どちらも採卵飼育をする計画です。摩周湖付近の清里町側の個体群が明るくて青いと竹中さんが『北海道の蝶の採集・撮影案内』第2巻に書いていたので、北海道滞在中、ほとんど清里町のホテル緑青荘に泊まっていました。摩周湖付近はなかなか好天になりませんでしたが、3日目にようやく清里峠付近が晴れ、青いジョウザンシジミの他、新鮮なシロオビヒメヒカゲも採集できました。母蝶採卵し、飼育もしたのですが、羽化がバラバラで、累代はできませんでした。累代するのは、またの機会に。

2021年の蝶 10 ユキワリツマキチョウ

越後の名人がハンドペアリングしたツマキチョウ雄とクモマツマキチョウ雌の卵を今年もいただきました。高温と高湿を避けて飼育して蛹化。蛹になってから低温処理し、室温より低い温度で羽化させます。今年は北海道遠征をしたため、蛹の低温処理が19-20日と短めになり、羽化率が下がってしまいました。うまく年内羽化させる方法の詳細は越佐昆虫同好会報 121: 43-47 2020, を参照ください。得難い(なにせクモマツマキチョウの蛹を前年に用意して、羽化時期を調節して、ハンドペアリングして、採卵して等々をすべてうまくやって)、愛らしい蝶を眺められるのはありがたいことです。

2021年の蝶 9 キマダラルリツバメ

6月初旬、但馬へキマルリ採集に。兵庫県北部では同じ市内でキマルリの発生期がひと月ずれる産地があります。まずは標高の低い産地から。現地で合った仲間の情報では5月末から発生していたとのこと。キマルリの習性として日が傾いて、活動時間にならないと翔びだしません。晴天の日であれば、夕方から日没前に相当しますが、曇っていたりすると時間帯がずれるのが、やっかいなところです。この日は期せずして、神奈川のお友達を含め4名のおっさんが集まりました。幸い晴天だったので、午後4時ごろから、キマルリ雄が飛び出た枝先や丈の高い草本の上でテリトリーを張り出し、他の雄が近くを翔ぶ度に、追飛行動を始めます。小型の蝶がビュンビュン翔び回るので、採集しにくいのですが、ほぼ定位置にとまるので、あわてずに待ちます。ただ雌は不活発なので、活動場所周辺をかるく叩いて、少しだけ翔ぶ個体を探します。この産地での目玉はトラキマと呼ばれているトラ型のキマルリ。写真の右側がトラ型の雌です。裏面の地色の黄色味が強く、虎の縞模様みたいになる個体でトラ型がとれる産地は限られます。左側は通常型の雄。キマルリの採集では、特徴的な4本の尾状突起が取れないよう、気をつけます。1か月後、高標高地のカシワ林へ行きましたが、こちらは不作で、目撃確認だけして帰りました。福島県のキマルリは下調べをしたのですが、結局行かずじまいでした。